中学生の皆さんへ

あなた自身を成長させるために

                     キャリアカウンセラー 吾妻 珠紀


 私は公的就職支援機関で、キャリアカウンセラーとして10年間、五所川原商業高校さんに関わってきた。他にも年間120校ほどのあらゆる校種の教育機関に関わってきたが、五所川原商業高校さんの一番の特徴を挙げるとするならば、商業高校であるとか、資格取得に力を入れているだとかという類のことではない。私は、他の高校さんと比較しても遜色ないどころか県内1であるのではないかと感じる点がある。それは、入学時の生徒さんと卒業時の生徒さんを比較した時の成長の度合い、のびしろである。教育の目標が「学力をはぐくむ」ことであるのなら、明らかに点数で評価可能な学力とは異なる目に見えない「学力」が、3年時の進路ガイダンスの時間、教室に入るだけで空気を通して講師に伝わってくる。それは、言葉にすれば自主性かもしれないし、自己効力感であるかもしれないが、1年生からの丸2年間でここまで成長できるものかと毎年、その成長ぶりを楽しんでいる。そして、さらにそこから就職活動や職業選択を通して、卒業までにまたぐっと成長期を迎えている3年生。まさに学校全体で生徒さんをはぐくまれているからこそのことであると思う。

さて、高校進学時に皆さんは何を重視して選ばれるのだろうか?家から近いか?仲のいい友人が一緒だから?やりたい部活があるかどうか。資格支援をどれくらいやってくれるのか、どの上級学校に進学しているのか、または就職内定率だろうか。それは、確かに指標の一つであるかもしれない。部活でも資格取得でもいいのだが、力を入れて取り組めることがあるというのは重要だ。けれども、それは学校の制度が整っているからだとか、生徒が先生の教えに素直だから達成されている訳ではない。こちらの学校の「しつこさ」は、なぜ、今、部活に力を注ぐのか、自分の基本的生活を自分でコーディネートしなければいけないのか、なぜ今、この資格を取得すべきなのか、社会とはどういうものなのか、働くこととは......、と常に卒業後の人生を見据えて、現在の行動へのフィードバックを繰り返していることである。「しつこく」というのは、生徒全体に対してはもちろん、ひとりひとりに声をかけ、目をかけ、手をかけ、個に応じた支援を繰り返す内、最初は、そのことに無関心であったり、まだ先のことと思っていたりした生徒さんであっても、自分に必要なものや事柄について考える機会を生徒自身が持ち続けた結果、3年生時の自己決定的な進路選択に繋がるのであろうと思う。         

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